「シロアリがいることで人体には影響があるの?」
「子供やペットは大丈夫?」
シロアリが生息している可能性があるとき、建物の被害状況だけでなく人体やペットに影響が出ないか、不安を感じてしまう人もいるでしょう。
そこで、この記事ではシロアリが生息していることによる人体やペットへの影響について詳しくご紹介していきます。
目次
• シロアリによる人体への影響
• 空気の悪化
• アレルギーの誘発
• 感染症のリスク
• 安全な生活環境を失うリスク
• 精神的ストレス
• シロアリによる子供やペットへの影響
• シロアリ駆除による人体への影響
• まとめ
シロアリによる人体への影響
結果からお話しすると、シロアリというのは一般的に人体に対して、直接的な影響を与えることはほとんどないと言われています。シロアリによる人体への影響というのは、その多くが間接的な要因にあるとされているので、シロアリがいることで、すぐに病気になるといったことはありません。
シロアリが人に嚙みついたり、シロアリに刺されるといったケースもほとんどないとされていますし、たとえ刺されたとしても激しい痛みを伴ったり、毒があるといったことはありませんので、ご安心ください。
ただし、シロアリからの直接的な被害がないからと言って、シロアリが生息しているかもしれない状況で、駆除を行わずに過ごすことはおすすめできません。
なぜなら、時間が経過するにつれて間接的な要因で、シロアリによる人体への影響を受けてしまう可能性が高まっていくからです。
そもそも、シロアリが人体に対して悪影響を及ぼす可能性がある状況とは、一体どのような場合なのでしょうか。
まずは、シロアリが間接的に人体へ影響を及ぼすようになる要因を一緒に確認してみましょう。
① 空気の悪化
シロアリは建物に侵入すると、木材などの構造材を食べてしまうということはご存じの方も多いと思います。ですが、その際に有害な化学物質が放出される場合があるということはあまり知られていないかもしれません。
シロアリは木材をセルロースや他の成分に分解して栄養を得ていますが、このプロセスにおいて、シロアリが放出する酵素や分泌物により化学物質が放出されています。これらの物質自体は、本来人体には特に影響がないものです。
しかし、場合によっては有害な化学物質が発生する可能性があります。
有害な化学物質が放出される可能性があるのは、防腐剤や塗料が使用された木材などをシロアリが分解したときです。シロアリが建物の木材を分解することによって有害な化学物質が放出されるというのはごく一部の場合であると言えますが、そのリスクについて知っておくといいでしょう。
♦ 防腐剤を使用した構造材のリスク
木材を保護するために使われる防腐剤には、クロルピリホス、クレオソート油、銅クロモ酸化合物などが含まれることがあります。これらの成分がシロアリによって分解されると、有害な化学物質が放出される可能性があります。
♦ 塗料を使用した構造材のリスク
木材を覆うために使用される塗料には、揮発性有機化合物(VOC)、重金属、防カビ剤などが含まれていることがあります。これらの成分がシロアリによって分解されることも有害な物質が放出される可能性として考えられます。
具体的な放出物や有害性というのは使用された化学物質によっても変わりますが、こうしたシロアリによる構造材の分解というによって、空気に有害な化学物質が含まれてしまうリスクがあります。建材や塗料メーカーは使用される材料の安全性に注意を払っていますし、規制に従って製品を製造していますので過度に不安を感じる必要はありません。しかし、長期間にわたりシロアリの被害に遭ってしまった場合、有害物質の放出が懸念されることは可能性として頭に入れておく必要があるようです。
② アレルギーの誘発
一般的には、シロアリが直接アレルギーを引き起こすことはありません。しかし、シロアリが人々の住環境に侵入し、活動することによって、アレルギー症状が発生する場合があります。シロアリによるアレルギーの誘発が起こることはケースとして少ないですが、シロアリがアレルギーを引き起こす間接的な原因となる可能性は十分に考えられます。シロアリが発生していることが、どうしてアレルギーの発生原因となるのかを簡単にご説明します。
♦ シロアリのフンや分泌物による誘発
シロアリが巣を作る際に放出するフンや分泌物には、一部のタンパク質などが含まれており、これが空気中に浮遊することがアレルギー反応を引き起こす原因になると言われています。
♦ シロアリアレルゲンによる誘発
シロアリの体や分泌物に含まれる特定のアレルゲンが、一部の人にアレルギー反応を引き起こす場合があります。昆虫によるアレルギーとしては蚊やハチなどが一般的ですが、シロアリの場合はより稀な場合が多く、ごく一部とされています。このアレルゲンについては研究が進められている段階ではありますが、アレルギー反応を引き起こす原因になりうることが懸念されている状況です。
こうしたアレルギー反応は個人差があり、症状が他のアレルギーによって引き起こされている場合も考えられます。しかし、建物内でシロアリが生息や活動を続けているとアレルギーの発生リスクが高まるということも覚えておく必要があります。シロアリの排泄物や死骸が人々の生活環境に残ること、またシロアリが動き回ることによってアレルギー症状を引き起こしてしまうことを理解して、適切な対処を考えていきましょう。
③ 感染症のリスク
シロアリが巣を作る際に、土壌や木材から微生物や真菌(カビ)を持ち込むことがあります。これらの微生物は感染することによって病気を引き起こす可能性があります。ただし、可能性があるとはいえ、シロアリによる感染症のリスクは他の感染媒介生物(蚊、シラミ、ノミなど)に比べると低いとされています。
だからと言って油断してはいけません。シロアリが建物内で活動することにより、運び込まれた微生物や真菌が増殖しやすい環境になり、そこから健康被害につながるといった可能性は十分考えられます。こうした感染症のリスクを軽減するためには、シロアリの駆除や対策を行うことと、湿度の管理を定期的に行うことが必要です。
④ 安全な生活環境を失うリスク
シロアリが発生することで、直接的な被害を受けてしまうのが建物です。建物の耐久性へ影響が出るようになると、私たちは安全な生活環境を失ってしまいます。家を失ってしまっては生活できませんので、これが一番大きなシロアリによる間接的な被害と言えます。
シロアリが建物に対して与える主な被害をいくつか挙げてみましたので、一緒に確認してみましょう。
♦ 建物に対して与える主な被害 1.木材の食害
シロアリは木材を食べて、巣を作って活動をしています。侵入した建物の木材を食べながら、食べ進めてできた空間に、さらに中に巣を作って活動範囲を広げていくというのが主な行動パターンです。そのため、家の土台や柱に侵入された場合には、土台や柱の中が食べ進められてスカスカになり、床が沈むようになったり、ドアの建付けが悪くなるなど、日常生活にまで影響を及ぼすようになります。
♦ 建物に対して与える主な被害 2.構造材の耐久性が下がる
シロアリが食べるのは木材だけだから自分の家には関係ない、そう思っていませんか?実はシロアリはかなりの雑食なので消化能力を持ち合わせていない、「金属」「ガラス」「コンクリート」といったもの以外は、ほとんど食べてしまうと言われています。また、コンクリートを食べないからと言ってシロアリが侵入してこないかどうかは、また別の問題です。シロアリは数ミリの隙間があれば活動範囲を広げられるので、割れたコンクリート間から侵入して被害を及ぼすケースはよくあります。こうした、シロアリによる構造材の摂取や損傷が進むと、建物の構造が弱体化し、耐荷重性が低下します。これが進行すると、建物全体の耐久性が下がり、深刻な影響を与えてしまいます。
♦ 建物に対して与える主な被害 3.経済的な損失による被害
シロアリによる建物への影響は、修理や補修にかかる費用、建物の価値の減少、保険のコスト上昇など、経済的な損失を引き起こす可能性があります。
これらの影響を最小限に抑えるためには、シロアリの早期発見と効果的な駆除、建物の定期的な点検や予防対策が重要です。
⑤ 精神的ストレス
シロアリ被害による建物の修復や駆除などの必要があるといったときに、ストレスや不安が精神的な健康被害として引き起こされる場合があります。
シロアリは普段人目につかない場所で活動を続けるため、被害に気づいた時には被害が深刻化している場合が多いです。大規模な被害が発生してしまった場合、住居や建物の安全性に対する不安が生じるだけでなく、これまで暮らせていた家の安全が確保されなくなることや修理や駆除に莫大な費用がかかるという精神的なストレスが引き起こされてしまいます。これらの健康被害は一般的に軽度な場合が多いですが、シロアリの被害を早期に発見し、適切な対策を講じることで、これらの精神的な健康被害を予防することができます。
シロアリによる子供やペットへの影響
これまでにもお伝えした通り、シロアリが子供やペットに直接的な影響を及ぼすことは通常ありません。一般的に、シロアリは人間や動物に攻撃するような挙動を取ることはほとんどありませんし、彼らの主な関心は木材や植物の繊維素などの食物源を見つけることにあります。
ただし、シロアリ駆除のために使用される化学物質や薬剤には注意が必要な場合があります。また、シロアリの被害や駆除活動は家庭環境にストレスを与えることもあります。
駆除作業中の騒音や不便さ、家の一部が利用できなくなることが、子供やペットの心理的なストレスに影響しやすいです。
家庭内でシロアリによる被害が発生した場合、特に小さなお子さんやペットと暮らしている方は、子供やペットの安全を考え、使う薬剤の安全性や施工内容について専門的な知識を持つプロの助言を得ることが必要かもしれません。
シロアリ駆除による影響
先ほどお伝えしたように、シロアリ駆除剤に使用される一部の化学物質は、人体への影響が懸念されることがあります。これらの影響は、使用される化学物質や製品によって異なりますが、一般的な影響として以下のようなものが考えられます。
【呼吸器への刺激】
シロアリ駆除剤には揮発性有機化合物(VOC)が含まれることがあり、これが揮発すると空気中に放出されます。高濃度の揮発性有機化合物は呼吸器に刺激を与え、咳や喉のイガイガ感を引き起こす可能性があります。
【皮膚刺激】
駆除剤が皮膚に直接触れることで、一部の駆除剤は皮膚刺激を引き起こすことがあります。これにより、かゆみ、発疹、赤みなどの症状が現れる可能性があります。
【眼への刺激】
駆除剤が目に入ると、眼を刺激し目のかすみ、充血、痛みなどの症状が発生することがあります。
【神経毒性】
一部の駆除剤には神経毒性があるものがあり、これが人体に吸収されると、頭痛、めまい、吐き気、神経系の異常などが発生する可能性があります。
【アレルギー反応】
こちらは個人差がある場合が多いですが、一部の人は駆除剤に対してアレルギー反応を起こすことがあります。アレルギーの症状には呼吸困難、発疹、蕁麻疹などが含まれます。
このようにシロアリの駆除剤によっては、人体への影響が懸念されているものもあります。安全性は製品ごとに異なりますので、ご自身で使用する際には製品のラベルや指示をよく読み、適切な安全対策を講じることが重要です。
また、専門的な知識を持つプロの業者に依頼する際は、「日本しろあり対策協会」認定の駆除剤を使用しているかどうかをチェックしてみてください。認定の駆除剤は安全性が確保されたものですので、ご家族やペットがいても安心して駆除を依頼することができます。
まとめ
ここまで、シロアリの人体やペットに対する影響についてご紹介してきました。
総じて言えることは、シロアリは直接的な人体への影響を与えることはほとんどない、ということと間接的に建物や健康への被害を引き起こすことがあるということです。
シロアリの専門的な業者の中には調査を無料で行ってくれる業者もあります。少しでも不安に感じた場合には、こうした無料のサービスを活用して安全上や健康上の問題が生じる前に大切な住まいと家族の健康を守る対策をしていきましょう。