脅威の外来種アメリカカンザイシロアリとは

脅威の外来種アメリカカンザイシロアリとは

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近年日本で見かけるようになった「アメリカカンザイシロアリ」という外来種のシロアリをご存じでしょうか。

 

アメリカカンザイシロアリは、古くから日本にいたシロアリとは全く異なる生態をしているため、従来のシロアリ防除が通用しない、驚異のシロアリと言えます。

 

シロアリ被害が出た際、間違った対策をしては大変ですよね。

この記事では、アメリカカンザイシロアリの特徴や生態について、詳しく解説していきます。

 

 

 

 

アメリカカンザイシロアリとはどういうシロアリなのか


アメリカカンザイシロアリとは、近年日本で被害が報告されている外来種のシロアリです。

日本のシロアリ被害を代表する「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」と同様、木材をエサとして食べます。

 

しかし、ヤマトシロアリとイエシロアリは湿った木材を好むのに対し、アメリカカンザイシロアリは乾燥した気乾状態(含水率10~20%)の木材を好みます。そのため家の柱や家具など乾燥した木材の中に巣を作るのが特徴です。ただ、湿った床下や腐朽の進んだ壁の中で見つかることもあるようなので注意が必要です。

 

アメリカカンザイシロアリは体内の水分を失わないように排泄物に含まれる水分を直腸でほぼ完全に再吸収するため、木材中の僅かな水分で生活することが出来るのです。

つまり、水分に依存するヤマトシロアリとイエシロアリとは生態的に大きく異なると言えるでしょう。

 

アメリカカンザイシロアリの原産地は北アメリカで、カリフォルニア州からワシントンにかけての西海岸に広く生息しています。

日本では1976年、東京都江戸川区の建物で発見されたのが最初と言われています。海外から輸入した木製の家具の中に潜んでおり、日本に運ばれてきて分布を広げていったのです。

 

全国各地で被害が報告されるようになりましたが、その分布は局部的かつ集中的で、同じ市区町村内でも特定の町内だけに分布しています。多発する町内では被害が深刻化しており、今後の被害拡大が心配されています。

 

 

 

アメリカカンザイシロアリの階級と見た目


アメリカカンザイシロアリはほかのシロアリと同じく、王と女王を中心としたさまざまな階級を持ちます。

そして、階級ごとに見た目も役割も異なることが特徴です。

それぞれの特徴を見てみましょう。

 

 

【職アリ】(働きアリ)

体長5~8mm程度で、ヤマトシロアリやイエシロアリよりも一回りほど大きい。くびれのない寸胴の体型をしており、体は白や透明のような色をしています。

エサの調達、通路や巣の構築と維持、卵や幼虫、他の階級のシロアリの世話などコロニーの維持に関わる仕事全般をおこないます。

 

【兵アリ】

体長10mmほど。頭部とアゴが異常に大きく、茶色っぽい褐色の見た目をしています。それほど攻撃的ではありませんが、コロニー(巣)のために犠牲になるような存在で、木材を芯から食害してしまいます。大きすぎるアゴのせいで自分ではエサを取ることが出来ず、職アリから分け与えてもらいます。

外敵からコロニーを守るのが役割です。

 

【羽アリ】

体長7mm程度ですが、羽の部分を入れると10mmを超えます。頭が赤っぽい褐色をしており、体と羽が黒っぽい色をしているのが特徴です。

羽が黄色味のある見た目をしているイエシロアリの羽アリとは区別がつきやすいですが、全体的に黒っぽい見た目をしているヤマトシロアリの羽アリとは区別がつきにくいかもしれません。

時期になると新たな巣を作るために飛び立ち、後に王アリ、女王アリとなる可能性があります。

 

【女王アリ】

体長10mm程度で一見するとゴキブリの幼虫のような見た目をしています。女王アリは基本的に巣の中にいるため、ほとんど目にすることは無いでしょう。また、女王アリ(メス)と王アリ(オス)は一緒に行動していますが、見た目に違いがなく、見分けるのは困難です。

「卵を産むこと」が役割であり、生殖活動に専念します。

 

 

 

被害スピードが遅く早期発見が難しい


アメリカカンザイシロアリのコロニー(巣)の個体数は、ヤマトシロアリやイエシロアリに比べてとても少なく、数十~数百匹と小規模です。

ヤマトシロアリで多くて3万匹、イエシロアリでは最大で100万匹ともなるので、その違いは明確です。

そのため、加害スピードも他のシロアリに比べて圧倒的に遅いのですが、それ故に初期の段階では被害の発見が大変難しく、コロニーを作ってから被害発見までに最低でも4~5年かかる事例が多く見られます。

アメリカカンザイシロアリは家の木部を加害して空洞にするため、建物の耐久性が低くなり、被害が広がることで家が倒壊する危険性もあるのです。

 

また、アメリカカンザイシロアリは水分を必要としない場所でも加害し、建物のあらゆる木材の中に巣を作ってしまいます。

1つのコロニー自体の個体数は少ないですが、1軒の住宅にいくつもの巣を作ることもあるので、その場合は被害も大きくなり油断は禁物です。

さらに、ヤマトシロアリやイエシロアリに比べて巣の再生能力が非常に高いことから、たとえ駆除を行っても再び被害が発生してしまう可能性があるのでとても厄介なシロアリです。

 

 

 

近隣住宅で被害が多発するワケ


ヤマトシロアリやイエシロアリは地面の下に巣を作り、蟻道(ぎどう※シロアリが作ったトンネル)を通って床下から侵入してきます。たとえ羽アリが生息範囲を広めるために近隣住宅に飛んだとしても、そのまま住み着くことはありません。

ヤマトシロアリやイエシロアリは水分が無いと生きられないので、湿気の多い土壌から侵入することがほとんどです。

 

一方、アメリカカンザイシロアリは、先ほどもお話しした通り乾燥した木材を好み、巣を作ります。

アメリカカンザイシロアリの生息地域拡大は、ほとんど羽アリによるものとされますが飛ぶ力は強くなく、せいぜい数百メートルというところです。

羽アリが発生する時期になると「窓」や「屋根裏」などから家に侵入します。また、購入した木製の家具と一緒に入り込んでしまうケースもあります。

 

つまり、アメリカカンザイシロアリは羽アリが家の中に侵入し、木材にコロニーを作ることによって繁殖するのですが飛ぶ力が強くないため、近隣住宅の間で被害が広がるのです。

これがアメリカカンザイシロアリが特定の地域で被害が多発する理由となります。

 

ご近所トラブルにもなりかねない深刻な問題ですよね。

自身が被害者にも加害者にもならないよう普段から対策しておきたいものです。

 

 

 

被害を早期発見する3つのポイント


【ポイント1 糞が落ちている】

 

アメリカカンザイシロアリの糞は窓の周囲や屋根裏、床下、軒下や家の外周りで見かけることが多く、盛り塩のように積もっていればアメリカカンザイシロアリの糞である可能性を疑ってください。

 

アメリカカンザイシロアリは建材の中を巣としているため排泄もその場で行うことが多いのです。

糞らしきものを見つけたら、近くの木材に糞の排出口がないか確認してみましょう。

排出口の大きさはさまざまで、目で確認できる大きさの穴から画びょうで開けたような小さい穴まであるため、小さいものの場合は発見するのが難しいかもしれません。

 

糞の大きさは0.7~1mmほどで、よく見ると俵のような形をしており、乾燥していて非常に硬いのが特徴です。

形は一定で俵状ですが、茶色~ベージュの色味と様々な色をしています。

パッと見ただけではこれがシロアリの糞だとは気づきにくい見た目かもしれません。

 

また、アメリカカンザイシロアリが侵入して間もないうちは糞を出さずに木くずのみを排出しますので、もし木くずが落ちていた場合は周辺に羽の痕跡がないかどうかも確認するようにしましょう。

 

何気なく窓枠や床などの室内や自宅の周辺で見覚えのない木くずのようなものや、俵状の小さい何かが積もっていたら、一度シロアリ業者に確認してもらいましょう。

 

 

【ポイント2 羽アリを見かけた】

 

アメリカカンザイシロアリの羽アリは6月~7月の日中に新たな巣を求めて飛び立ちます。そして、ちょうどよい場所を見つけると、羽を落として新たなコロニーを作り始めるのです。

 

ヤマトシロアリの羽アリは4月~5月の午前~昼にかけて、イエシロアリの羽アリは5月~7月の夕方~夜にかけて飛び立つので、どの時期、時間帯に羽アリを見かけたによって、どの種類のシロアリなのか区別することもできます。

そのため、6月~7月の日中に羽アリを見かけた場合はアメリカカンザイシロアリがいること疑いましょう。

 

そして、シロアリの羽らしきものが落ちている場合は、すでに新たなコロニーを作り始めている可能性があるため被害が進んでしまう前に早急にシロアリ調査を行うのが安心でしょう。

 

 

【ポイント3 空洞音がする】

 

建材を叩いてみて「コンコン」や「ポコポコ」といった空洞音がする場合はアメリカカンザイシロアリにすでに加害されている恐れがあります。

 

さらに、建材を叩いた時に木くずが落ちてきた場合、アメリカカンザイシロアリがその中に住んでいる可能性があります。木くずが落ちてきたということは、アメリカンカンザイシロアリが近くに穴を開け、その中から糞が落ちてきたと予想されるからです。

 

木くずが落ちてくるほど食害が進んでいる場合、被害が深刻な状態である可能性が高いので、早急にシロアリ業者に相談するなど対処しましょう。

 

 

 

少しでも不安、疑いがある方はご相談を


近年、テレビのワイドショーなどでも取り上げられるようになったアメリカカンザイシロアリですが、その被害実態はあまり知られていません。

それは、日本でのシロアリ被害の99%以上がヤマトシロアリやイエシロアリの被害であり、アメリカカンザイシロアリの被害はわずか0.3%に過ぎないと実例がとても少ないからでしょう。

•国土交通省補助事業 シロアリ被害実態調査(2013) より

 

現在の日本では、アメリカカンザイシロアリの被害は局所的であり、珍しい種類のシロアリです。

しかし、日本を代表するシロアリであるヤマトシロアリやイエシロアリとは全く異なり、建物のどこからでも侵入出来て、住み着いてしまう怖さや、万が一被害に遭ってしまった際の駆除の難しさがあります。

 

「俵状の硬い糞のようなものがある」

「6~7月に赤黒い羽アリを見た」

「木製の家具(特に輸入家具)から粉が出る」

「近所でシロアリ被害が出た」

 

このような場合は専門の業者に調査を依頼することをおすすめします。

 

 

シロアリ無料調査実施しています


アメリカカンザイシロアリは外来種であり、ヤマトシロアリやイエシロアリとは違った生態を持つということはご理解いただけたかと思います。

他のシロアリに比べて発見が遅れやすく、気付いた時には被害が深刻化している・・・なんてことになりかねません。

 

また、アメリカカンザイシロアリは従来のシロアリ駆除の方法である「バリア工法」や「ベイト工法」での完全な駆除・対策が難しいとされます。

アメリカカンザイシロアリの駆除はプロである業者でも簡単なものではないので、自分で対処しようとせずに、専門業者に相談しましょう。

 

私たちは、シロアリ駆除の専門業者であり、「シロアリ無料調査」をおこなっております。

実際に床下に入る、また、建材の打診や目視等でシロアリがいるかどうか、シロアリ被害は出ていないか、予兆はないか調べることが出来ます。

調査、お見積もりをご依頼いただいたからと言って強引な営業は致しません。また、シロアリがいないと判明しても無料のままですので、ご安心ください。

 

少しでも不安、疑いがある方はこの機会に「シロアリ無料調査」をしてみませんか?

お気軽にご相談ください。


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