静かで小さな脅威、ヤマトシロアリについて

静かで小さな脅威、ヤマトシロアリについて

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シロアリを見たことが無い方はいらっしゃると思いますが、多くの方はシロアリという言葉を耳にしたことがあると思います。そして、シロアリは「木造の建物をダメにするアリ」という認識ではないでしょうか。

 

これは決して間違った認識ではありませんが、半分正解で半分が間違っています。

 

本記事では、知っているようで詳しくは理解されていない、そして誤って認識されているシロアリの基本情報について解説いたします。

 

 

 

シロアリは「ゴキブリ」の仲間


この見出しを見て驚く方は多いのではないでしょうか。シロアリは「アリ」が付いていますが、実は「ゴキブリ」の仲間なのです。本来の蟻は、頭の部分、胴体の部分、お尻の部分の大きさが異なっており、筋があります。対してシロアリは頭の部分と胴体の部分だけです。蟻はくびれがありますが、シロアリは寸胴型の胴体です。よく観察すると全く異なります。あまり想像したくはありませんが、シロアリはゴキブリの体とよく似ています。

 

 

 

日本にいるシロアリは主に2種類


「シロアリは1種類しかいない」

こんな認識をしている方が多いのではないでしょうか。シロアリという言葉を耳にするので、そのような認識でいる方は多いと思いますが、実は日本にいる主なシロアリは2種類です。下図のようなヤマトシロアリとイエシロアリというシロアリがいます。

 

ヤマトシロアリ

 

イエシロアリ

 

この写真を見て、「あれ?シロアリなのに黒い体だぞ?」と不思議に感じていませんか?

 

シロアリという呼び名ですが、ヤマトシロアリは黒い体のシロアリです。一般的に認識されているシロアリの姿はイエシロアリの方です。ヤマトシロアリは黒い体なので、仮に見かけたとしても「シロアリがいる」という認識ができないかもしれません。

 

あまり認識されていないこのヤマトシロアリですが、住宅のシロアリ被害においては、かなり被害の原因を作っています。

 

 

 

ヤマトシロアリとはどういうシロアリなのか


ヤマトシロアリとは、日本に生息するシロアリの一種で、別名チャノキシロアリとも呼ばれている昆虫です。体の大きさは4.5mm~7.5mmで、ヤマトシロアリと同様に日本に多く存在するイエシロアリの体の大きさは7.4mm~9.4mmなので、体の小さいシロアリなのです。小さいゆえに見つけるのは少し難しくなります。

 

木材を主な食料としますが、特に湿った木材を好みます。シロアリの中でも特に被害件数が多く、本州から四国、九州にかけての日本各地で見られます。湿度の高い環境を好み、山林や住宅地、農地など、様々な場所に生息しています。

 

体は小さいですが、住宅などに使われる木材をよく食べ、ボロボロにしてしまう力はとても強いシロアリです。

 

 

「労働アリ」と「羽アリ」の2種類ある


ヤマトシロアリは、労働アリと羽アリの二つの形態が存在します。

 

労働アリは、その名の通り働くアリです。巣の維持や餌探し、巣の拡大などの仕事に従事します。体長は約4~6mmほどで、一般的には白色や透明な色をしています。先ほど「ヤマトシロアリは黒い」ということを解説しましたが、これは後述する羽アリに関してのことです。ヤマトシロアリの中で、労働アリに属するものは白っぽい色をしています。同じヤマトシロアリでも、労働アリと羽アリでは全くビジュアルが異なるのです。

 

一方、羽アリは繁殖のために存在します。羽があるので自ら飛び立ち、新たな巣を作ります。4~5月の昼間に一斉に飛び立つため、この時期に大量の羽アリを見かけたらヤマトシロアリの被害がある事を疑って間違いないでしょう。既述の通り羽アリは黒色で、胸部に1本の白いラインが入っているのが特徴です。

 

温度と湿度が適切な環境であれば。活発に繁殖し、被害を拡大させることがあるので、早期発見と適切な対処、予防が重要となります。

 

 

 

意外と過酷で残酷なヤマトシロアリの世界


ヤマトシロアリは、他のシロアリと同様に社会性昆虫で、基本的には生殖階級と非生殖階級に分けられ、生殖階級には女王、王と副女王、副王、非生殖階級には兵アリと働きアリに分けられます。

 

女王、王は巣に1ペアずつ存在し生殖活動に専念します。ヤマトシロアリの女王アリが1日に産む卵の数は25個前後と言われています。女王、王のいずれか、または両方が傷ついたり死んでしまった場合には、副女王、副王がその代わりをします。女王アリの寿命は10年以上と言われており、体長は大きいもので15mmにも達し、腹部が白っぽく肥大化しています。これは毎日繁殖活動と産卵を繰り返すためです。繁殖が出来なくなると働きアリなどに食べられてしまいます。役割を終えると、最後は部下の栄養になるというわけです。自然の摂理なので仕方ありませんが、過酷な世界ですね。

 

そして、兵アリは外敵から巣を守るのが役割です。兵アリは、後述する働きアリとほぼ同じものです。しかし、働きアリよりも体が大きいため、大きな餌を運んだり、解体したりする作業ができます。体が大きい特徴を生かした役割があるため、働きアリとは区別して語られます。

 

働きアリは全体の90~95%を占め、「職蟻」とも呼ばれています。採餌活動、巣や蟻道の構築・修正、生殖階級や幼虫の世話など、シロアリ社会の様々な労務をおこなっています。

 

ヤマトシロアリの世界を分かりやすく中小企業で例えるならば、女王や王は経営者一族、兵アリは中間管理職、働きアリは一般従業員やアルバイトとなります。

 

 

 

ヤマトシロアリはどのようにして増えていくのか


ヤマトシロアリは、繁殖期になるとコロニー(巣)から未来の王候補と女王候補が羽アリとなり一斉に飛び立ち、結婚飛行し、そこから新しいコロニー作りが始まります。1コロニーの個数は1~2万匹程度で、3万匹を超すことは少ないです。

 

シロアリ社会は完全な階級制度なので、王と女王にしか繁殖機能はありませんが、女王アリは自分のコピーを作りだすことができます。自分のコピーが存在すれば、万一自分に何かあったとしてもコロニーは存続できるようにするためです。

 

この特性が厄介で、駆除する際は一斉に駆除しないと何十年にもわたり、家の床下で繁殖活動がおこなわれてしまいます。

 

では、シロアリの繁殖が盛んになる原因は何でしょう?

 

答えは高温多湿です。ヤマトシロアリは乾燥に弱く、28度を超えると消化管にトラブルを起こし活動できなくなります。また、水が無くても活動することが出来ません。湿度60%以上がシロアリにとっての快適空間なのです。

 

現代の家は高温気密断熱住宅が主流なので、家の中全体が高温多湿になりやすくなっています。特に床下などは湿気が溜まりやすく、シロアリの繁殖を促進する原因となってしまいます。

 

 

 

鉄骨造、鉄筋コンクリート造の住宅なら大丈夫なのか?


「ヤマトシロアリは主に木材を食料源にする」とお伝えしましたが、実はヤマトシロアリが食べるのは木だけではありません。段ボール、畳、断熱材、プラスチック、鉄筋コンクリートまで食べてしまいます。

 

この特性があるということは、木造住宅以外の住宅に住まわれている方も被害に遭うということが言えます。

 

シロアリは鉄筋コンクリートを栄養として取り込むわけではないのですが、強靭なアゴを使って少しずつ鉄骨やコンクリートを削り、通れるだけの割れ目を作ってしまいます。また、鉄筋コンクリートや鉄骨造の家であっても、木材が使われているため、その部分が被害に遭うということもあります。

 

鉄筋コンクリートや鉄骨造の家で特に注意すべき場所は、以下の6か所です。

 

1.玄関

鉄筋コンクリートや鉄骨造の家であっても、玄関の内装に木材を使用していれば、シロアリに狙われる危険性は常にあります。例えばドアを囲む枠木(わくき)と呼ばれる部分や框(かまち)、敷居などには、木材が使われています。

 

2.断熱材

断熱材はシロアリのエサになってしまうため、埋め込んであるところには注意が必要です。シロアリ被害を防ぐためには、できるだけ断熱材を使わないことが良いですが、断熱材を使いたい場合はグラスウールなどの素材で作った『防蟻性』のあるものを使用すると良いでしょう。

 

3.和室

和室にある畳もまた、シロアリのエサになってしまいます。さらに畳はシロアリの好む湿気が溜まりやすいので大変危険です。座布団や布団を敷いたままにしていると、その下は湿気が特に溜まってしまうので使ったらすぐに片付けるようにし、毎日窓を開けて風を通すなど換気をするようにしましょう。

 

4.床下

床下は最もシロアリの侵入経路になりやすく、シロアリが繁殖しやすい場所でもあります。

床下は湿気が溜まりやすく、エサになる木材がむき出しになっていることも多いため、狙われやすいといえます。これは鉄筋コンクリートや鉄骨造の家であっても同じことです。

 

5.水回り

キッチンや洗面所、お風呂場などの水回りは、日ごろから水を使うため湿度が上がりやすいので注意が必要です。水回りの床下や壁の内側はシロアリにとって高環境になりやすいからです。定期的に窓を開けたり換気扇を回したりして湿気が溜まらないように心掛けましょう。

 

6.柱

鉄骨の柱であっても、シロアリのエサである木材や断熱材のある所へ行くための侵入経路として、柱の内側を利用されるケースがあります。一見すると被害が分かりづらくても、柱内部はボロボロにされていたということもあります。

 

 

 

私たちがこれまでに出会ったヤマトシロアリによる被害事例を紹介します


私たちはシロアリ駆除サービスを提供している会社です。これまで数々のシロアリ被害現場に対応してきました。ヤマトシロアリによる被害が発生したお客様も多数いらっしゃいます。ここでは、実際にヤマトシロアリによる被害発生している物件の実情を解説します。

 

事例① 押し入れ

押し入れの一部が傾き、下がってしまっています。

こちらは床を支える構造部分の根太という部材やその下の束柱などもシロアリによる食害を受けていることが判明しました。

 

 

事例② 風呂場のドア枠

一見するとシロアリ被害に遭っていることに気付くのは難しそうです。

しかし、ドア枠の柱の中はシロアリの食害を受けボロボロに・・・。

ご自宅の柱も心配ですよね。

簡単なチェック方法として、柱を叩いてみてください。シロアリに食べられた壁や柱は内部が空洞になるため、「ポコポコ」という空洞音がします。

ぜひ試してみてください。

 

 

事例③

「床がブカブカするので見てほしい」とのお問い合わせがあり訪問したお客様宅です。

現場に行ってみると床全体が沈む(トランポリンのような感じ)があり、床下を調査。

床基礎部分に蟻道を確認、食害を受けていることが判明しました。

 

 

 

建物を守るために「調べる」という方法があります。


本記事ではヤマトシロアリについて詳しく解説してきました。

ヤマトシロアリをはじめシロアリは私たちの身近なところにいます。特に日本のように高温多湿の環境が揃っている場所は、シロアリにとっては楽園です。さらに、昨今では住宅設備の開発が進み、私たち人間にとって快適な暮らしが実現されてきていますが、実はシロアリにとっても快適な環境となっています。

ヤマトシロアリをはじめシロアリによる被害が発生した場合は、住宅という資産が大きく損なわれます。これは一大事です。資産だけでなく、私たちの安心な住まいも損なわれます。踏んだり蹴ったりの現実を突きつけられる前に、万一の際は出来るだけ早く対応したいものです。

 

これはヤマトシロアリに限ったことではありませんが、シロアリ被害から建物を守るために「調査をする」という方法があります。

 

普段からシロアリが来ないように出来る対策を実施するのも大切ですが、本当にシロアリが来ていないかは調べるまでは分かりません。

 

私たちの健康管理と同じで、普段から運動や食事、睡眠に気を付けて生活をしていても、本当に病気にかかっていないかは健康診断や人間ドッグを受けないと分かりません。

 

シロアリも同じです。

まずは「今、どうなっているかを知る」ということが大事です。

 

とはいえ、全く不安のない方が調べるというのは億劫になると思います。

 

例えば、

•最近、羽アリを自宅の敷地内で見た

•近所でシロアリ被害の住宅が出た

•廊下を歩くとギシギシ・ミシミシ音がしたり、畳や床にすきま、きしみがある

•シロアリが移動する際に作る、土でできたドンネル「蟻道」が庭にあった

•柱を叩くと乾いた空洞音がする

上記のような気付きがある場合は、調査することをオススメします。

これらはシロアリ被害が出る住宅でよく起こることです。

 

 

 

無料床下調査を実施しています


私たちは「シロアリの床下無料調査」を行っております。

床下に実際に入り、シロアリがいるかどうか、シロアリがいる兆候があるかどうか、シロアリ被害がどの程度出ているかどうかを調べることをしています。

もちろん無料で調査し、調べた結果をご報告させていただいております。

 

また、ご希望がございましたら、駆除や被害箇所の補修の費用を算出し、お見積書のご提出も致しております。もちろん、お見積書のご提出も無料です。

 

調査をして、何も無かったらそれでおしまいです。

 

調査をしたからといって、お見積書をご提出したからといって、強引な営業や悪質な勧誘をするといったことは一切致しません。お約束します。

 

少しでも不安がございましたら、ぜひ私たちの「シロアリの床下無料調査」をご利用ください。


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